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先行研究

「生きがい就業:シルバー人材センターに関する先行研究」

高齢期の社会参加の一つとして注目されているシルバー人材センターを対象として、様々な研究や調査が行われています。ここでは、個々の会員にとってセンターでの就業がどのような効果を与えるかを検討した先行研究をご紹介します。

先行研究においては、会員の通院費が低額であったことや6)、老化に伴う体力の低下が緩やかであったことなど3)、シルバーの会員は一般高齢者に比べて健康状態は良好であることが報告されています2)。また、多くの会員がセンターで働く前よりも、より健康になったと感じていました1. 6)。センターでの就業には、客観的にも、主観的にも会員の健康維持に有用であるとの報告が少なくありません。

さらに、センターの会員になったことで生活にはりが出たと感じている会員が多くいることや1)、社会的存在意義などの幸福感の向上が認められたことも報告されています4. 6)

このように、先行研究の多くは、センターでの生きがい就業が会員の心身によい影響をもたらすことを報告していますが、具体的な就業頻度やどのような仕事の内容が、会員の健康維持により効果的なのかは明らかにされていません8. 9. 11)。また、安全就業対策などのセンター側のサポート体制の充実を望む会員が多いとの報告もあります2. 5. 7)

図表38 シルバー人材センター会員のQOL 向上に関する先行研究

図表39 シルバー人材センターの会員に関する論文の一覧

「介護予防:高齢者の疾患と運動介入に関する先行研究」

介護予防に関係する研究のうち、高齢者に多い膝関節の機能低下,2型糖尿病,サルコペニアに対する運動の効果を検討した報告を紹介します。

膝関節の機能低下は、加齢に伴い発症しやすく、特に高齢者では痛みを伴い、長期に症状が継続する特徴があります。これら膝関節の問題を含む運動器機能の機能低下はロコモティブ・シンドロームと呼ばれ,介護予防の主要なターゲットになっています。膝伸展力や痛みと運動の関係を検討した研究は我が国おいても多く1-13),運動介入によって改善が認められたとする報告が複数ありますが、特に膝への負担を軽減させる水中での運動効果が注目されています5)

2型糖尿病は、過食や運動不足との関連が高い生活習慣病として知られていますが、血糖値のバランスを保つホルモンであるインスリンが高齢期に減少することから、高齢者に多く見られる疾患でもあります。運動が糖の代謝の改善に有効との報告は多く7. 14-23)、近年では糖尿病の早期発見や糖尿病患者の血糖コントロールの指標である血中ヘモグロビンA1C(HbA1C)濃度への運動の効果の報告が増えています7. 15. 18-22)

サルコペニアは、加齢に伴い筋量が低下する現象で、老年症候群の1つとされています。運動障害や転倒・骨折の危険性の増大、日常生活の活動能力(ADL)の低下につながりやすく、介護予防との関連が高い疾患です。サルコペニアに対する介入研究は、体脂肪率を指標とする先行研究が充実しています5. 12. 16. 19-21. 24. 25)

今回取り上げた3つの疾患以外にも、高齢者を対象とした運動介入の効果を明らかにした研究は多く存在します。しかし、介入する対象者や運動プログラムによって結果が異なるため、介護予防の対象者への効果的な運動に関する研究のさらなるの蓄積が求められます。

図表40 日本における高齢者への運動介入を検証した論文の一覧