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2020年度

高齢期の社会的自立の維持にICTの果たす役割に関する研究

研究者
澤岡詩野
共同研究者
牧壮(IoSJ)、ダイヤネット、シニア社会学会ICT活用チーム
研究期間
2011〜2022年度
研究概要

インターネットやモバイルなどのICTを中年期から使ってきた年代が高齢化していくなかで、他者とつながる手段として、それらのツールを活用する高齢者が増えつつあり、今後は、孤立防止や社会的自立を支える手段として、ICTの果たす役割がますます大きくなっていくことが予測される。

本研究では、これまでICT活用に関してパイオニア的な存在の後期高齢者を対象に先進的なICTの活用事例、課題等を調査してきた。この中で、それらのツールを使いこなしてきた高齢者のなかでも、加齢に伴い、使うことをやめる、或いは、使うことが難しくなる人が一定割合存在することが明らかになった。一方で、会合や活動に顔を出せなくなっても、FacebookやLineなどの『SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)』でつながりを維持している人も存在していた。

本年度は、共同研究を行ってきたダイヤネット(パソコンやタブレットを学び合う企業退職者グループ)などのシニアグループを対象に、虚弱化が進む後期高齢期にICT、特に交流の手段としてSNSを使うことの意味や課題を詳細に検討していく。また、科学研究費助成を受けられた場合はSNSを介した交流の実態と効用を明らかにしていく為に、定量調査を行い、得られた知見は、自治体の講演会等で積極的に発信するとともに、一般高齢者向けの書籍として出版することを目指す。

関連する成果

[論文]

  • 澤岡詩野:「都市部の企業退職者の社会活動と社会関係にあるインターネットの位置づけ ―後期高齢期にあるシニア情報生活アドバイザー資格取得者の語りから―」応用老年学.8(1),31-39(2014.8)
  • 澤岡詩野:「都市一般中高齢者の非親族との電子メールを介した交流の特性」社会情報学会関西支部研究会(2014/3)

[学会]

  • 澤岡詩野:講演:MCI・認知症高齢者の自立を支える情報通信機器の可能性,シンポジウム「認知症を支えるハイテク機器の活用」.第31回日本老年精神医学会(2016/6)
  • 「ICT as a communication tool for older people (aged 80) in an urban area」(都市部の傘寿者(80歳)の交流媒体としてのICT)第18回国際社会学会議(2014/7)
  • 「高齢期の社会的孤立防止におけるICT(情報通信技術)の可能性 ―東京と岩手での社会実験から―」自主企画フォーラムII、第56回日本老年社会科学会(2014/6)

[研究報告書]

  • 平成23〜25年度 文部科学省科学研究費(若手A)「日常化しつつある都市在宅高齢者の交流媒体としてのインターネットの役割」研究報告書(2014.3)

[寄稿等]

  • 澤岡詩野:「インターネットがフレイル予防に果たす二つの可能性」最新医学社『最新醫學』別冊「診断と治療のABC:フレイル」(2018年7月)
  • 澤岡詩野:「生き・粋・活きシニア」北海道新聞(2017年5月〜2019年3月)
  • 「インターネットは高齢期の良き友」くらしの豆知識2015 (2014.9月発行)
  • 澤岡詩野:「ICTを活用した後期高齢者における社会活動継続に関する研究」、ジェロントロジー研究報告、10、 138-143(2012)

担当者:澤岡 詩野(さわおか しの)研究員のご紹介ページへ研究員ブログへ

(公財)ダイヤ高齢社会研究財団 主任研究員

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