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2023年度

ゆるやかなソーシャルキャピタルを醸成する介護予防事業の構築・継続要因に関する研究

研究者
澤岡詩野
共同研究者
渡邉大輔(成蹊大学)、中島民恵子(日本福祉大学)、大上真一(国際長寿センター)
研究期間
2017〜2025年度
研究概要

現行の介護予防事業の多くは比較的に健康で健康意識の高い高齢者が自らのための健康づくりに留まるものが多く、地域の互助に繋がる取り組みを行っているケースは少ない。本研究事業では長寿科学振興財団研究者支援事業(2017年度〜2019年度)として、独自に地域づくり型介護予防事業に取り組んでいる横浜市の「元気づくりステーション」33グループを対象に、地域互助の基盤となる「ゆるやかなソーシャルキャピタル」を醸成する事業の構築・継続要因を明らかにしてきた。当該事業から得られた顕著な成果として、メンバーの虚弱化やグループの弱体化、それらを前提にした自主運営への支援策を横浜市とまとめたリーフレットが挙げられる。

2020年度からは、33グループの変化を継続して調査することで、厚生労働省が推し進める「通いの場」を本人が望む限りは「通い続けられる場」としていく為の支援について検討を行っている。通算で調査7年目となる本年は、これまでの追跡調査で見出された課題への具体的な対処方法についても伴走支援する専門職と共に明らかにしていく。加えて、通いの場の概念を厚生労働省が拡げたことをうけ、社会福祉協議会が関わる居場所事業や社会教育など、多様な場に調査対象を拡げていく。得られた成果は、通いの場に関わる自治体や公的機関などに積極的に発信すると共に、通いの場や居場所づくりに関わるリーダーを対象にした研修などの場でわかりやすい形に加工して提供していく。

最終年度には助成金を申請し、簡易なリーフレットにまとめ、横浜市と協議のうえ横浜市以外の自治体にも配布していくことを目指す。

関連する成果

[論文]

  • 澤岡詩野:「介護予防を目的とした高齢者の自主グループ活動で生じる課題:横浜市元気づくりステーション事業で世話役を担う高齢者の語りから」,エイジレスフォーラム.18(2021年発行,掲載決定)

[学会]

  • 澤岡詩野・渡邉大輔・中島民恵子・松岡洋子・大上真一:「新型コロナウィルス流行と都市部高齢男性の社会生活:交流や社会活動の手段としてのインターネットの位置づけ」第16回日本応用老年学会大会(2021/11/6-7、オンライン)
  • 澤岡詩野・渡邊大輔・中島民恵子・大上真一:「都市高齢者の地域活動への参加と近所の人とのあいさつの関連:横浜プロダクティブ・エイジング調査から」日本老年社会科学会第63回大会(2021/6/12-27、オンライン)
  • 澤岡詩野・渡邉大輔・中島民恵子・大上真一:「都市高齢者のボランティア活動継続への意向と被援助志向性」日本老年社会科学会第62回大会(Vol.42 No.2誌上発表)(2020/6)
  • 澤岡詩野・渡邉大輔・中島民恵子・大上真一:「高齢者の自主グループの『自主運営』と『主体的なかかわり』を支えるうえで生じる課題:横浜市元気づくりステーション事業に関わる専門職の語りから」第14回日本応用老年学会大会 (2019/10/19-20、京都府)
  • 澤岡詩野:「退職後のプロダクティビティとは?」日本老年社会科学会第60回大会 自主企画フォーラム〔日本と海外の比較から人生100年時代の最期を考える―虚弱から最期までのプロダクティブ・エイジングとは何か?―〕(2018/6/9-10、東京都)
  • 澤岡詩野・渡邉大輔・中島民恵子・大上真一:「都市高齢者の健康づくりを目的とした活動への関わり方を感じる魅力:横浜市『元気づくりステーション』事業参加者における検討」第12回日本応用老年学会大会(2017/10/22,東京都)

[寄稿等]

  • 澤岡詩野:「紡いできたつながりをとだえさせないために今できることは?」渋谷区社協のふれあい・いきいきサロン団体向け通信(12月号)
  • 澤岡詩野:「日常のなかで『つながり』のタネまきをしてみよう!」あざみ野STYLE vol.41“西川りゅうじんの健康対談”(2020年3月)
  • 澤岡詩野:「大衆長寿社会を豊かに活きる『ゆるやかなつながり』と『地域コミュニティ』の在り方」社会教育2019年2月号

[書籍]

  • 澤岡詩野:「退職者も地域も活かす多様な「居場所づくり」」『保健福祉職のための「まち」の健康づくり入門;地域協働によるソーシャル・キャピタルの育て方・活用法』ミネルヴァ書房(2021年8月)

担当者:澤岡 詩野(さわおか しの)研究員のご紹介ページへ研究員ブログへ

(公財)ダイヤ高齢社会研究財団 主任研究員

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