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2020年度

多面的なQOL指標を含む科学的介護のデータベース構築

研究者
石橋智昭・二宮彩子・廣岡佳代
共同研究者
池上直己(聖路加国際大学), 高野龍昭(東洋大学), 小野恵子(青森県立保健大学), 阿部詠子(順天堂大学), 五十嵐歩(東京大学) ,早尾弘子(日本看護協会), 土屋瑠見子(医療経済研究機構)
研究期間
2019〜2021年度
研究概要

政府は、国民の健康寿命の延伸と効果的な医療・介護サービスの提供に向けて「データヘルス改革」を打ち出し、その柱の一つとして設定した「科学的介護サービス」を推進するための大規模データベースの構築を2020年のスタートを目指し準備を進めている。しかし、準備中のデータベースは、データ収集の効率性追求により、保険給付レセプト情報と既存の介護記録情報のごく一部のみを対象とし、設定されたアウトカム指標も要介護度や身体的自立度、認知機能障害度等に限定されているため、介護現場からは、介護の目的や効果は、より包括的な視点で考えるべきとの意見も出ている。

本事業では、「詳細なアセスメントデータ」と「介護サービスの内容」を接合した新たなデータベースの構築に取り組み、「より包括的な視点から高齢者のQOLを捉えた科学的介護のエビデンス」を発信できる環境を整備し、詳細なアセスメントデータをもたない行政主導の大規模データベースでは検討が困難な「高齢者のQOL」までを捉えることを可能とする。加えて、本事業の「質の評価(QI)研究」で構築してきたインターライ方式のデータベースは、対象者の心身機能だけでなく本人の意欲、社会活動状況などを含む包括的なデータで構成されており、今回更に「介護サービスの内容」が追加されることで、「介護サービス内容の効果」に言及することが可能となる。また、参加法人のケアの質向上とインターライ方式のデータ収集を維持するために、事業参加法人間の情報共有体制を構築する。

関連する成果

[論文]

  • Tsuchiya-Ito R, Slaug B, Ishibashi T. The physical housing environment and subjective well-being among older people using long-term care services in Japan. Journal of Housing for the elderly; 33(4), 413-432, 2019.

[学会]

  • 二宮彩子・土屋瑠見子・石橋智昭:「定期的ケアアセスメントデータ分析による居宅要介護高齢者の抑うつ悪化の要因」日本老年社会科学会第62回大会(Vol.42 No.2誌上発表)(2020/6)
  • 石橋智昭・土屋瑠見子・高野龍昭・阿部詠子・小野恵子・池上直己:「介護の質指標としての『参加(Participation)』の評価−ケアマネジャーのアセスメントデータを活用して−」(第31回日本老年学会総会の合同ポスター賞に選出)第18回日本ケアマネジメント学会研究大会(2019/6/6-8,宮城県)
  • 小野恵子・土屋瑠見子・高野龍昭・石橋智昭・池上直己:「訪問看護師とケアマネジャーの連携・協働の意義を看護学生が認識するためのケアプラン作成学習の実際と考察」第18回日本ケアマネジメント学会研究大会(2019/6/6-8,宮城県)
  • 高野龍昭・土屋瑠見子・石橋智昭・池上直己:「介護支援専門員による利用者の状態変化に対するモニタリングの現状と課題;質的記述的研究」(優秀ポスター賞に選出)第18回日本ケアマネジメント学会研究大会(2019/6/6-8,宮城県)
  • 五十嵐歩・山本則子・大田章子・石橋智昭・池上直己:「介護予防版インターライを用いた地域のフレイル層の支援ニーズの検討」第61回日本老年医学会学術集会(2019/6/6-8,宮城県)
  • 二宮彩子・土屋瑠見子・石橋智昭:「在宅要介護高齢者の孤独感が抑うつ悪化に与える影響;−定期的アセスメントデータ活用−」第78回日本公衆衛生学会総会(2019/10/23-25, 高知県)
  • 土屋瑠見子・石橋智昭・二宮彩子:「居宅の冷暖房設備状況が要介護高齢者の主観的well-beingに与える影響;3種類の屋外温熱環境条件での横断研究」第14回日本応用老年学会大会 (2019/10/19-20、京都府)
  • 二宮彩子・石橋智昭・土屋瑠見子「居宅要介護高齢者が抱える痛みの状況及び抑うつとの関連」第14回日本応用老年学会大会 (2019/10/19-20、京都府)
  • Rumiko Tsuchiya-Ito, Tomoaki Ishibashi, Naoki Ikegami: 「Validating Revised Index of Social Engagement (RISE) in Japan」World interRAI Conference 2020 (2020/2/3-5 ベルギー)

担当者:石橋 智昭(いしばし ともあき)研究員のご紹介ページへresearchmapへ別ウィンドウで開く

(公財)ダイヤ高齢社会研究財団 研究部長/主席研究員

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