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2022年度

多面的なQOL指標を含む科学的介護のデータベース構築

研究者
石橋智昭・佐々木晶世
共同研究者
池上直己(慶應義塾大学),二宮彩子(城西国際大学),高野龍昭(東洋大学),小野恵子(青森県立保健大学),阿部詠子(東京医療学院大学),五十嵐歩(東京大学大学院),廣岡佳代(東京医科歯科大学大学院),早尾弘子(日本看護協会),土屋瑠見子(医療経済研究機構)
研究期間
2019〜2022年度
研究概要

政府は、国民の健康寿命の延伸と効果的な医療・介護サービスの提供に向けて「データヘルス改革」を打ち出し、その柱の一つとして設定した「科学的介護サービス」を推進するための大規模データベースを2020年にスタートさせた。 しかし、政府が設置したデータベースは、データ収集の効率性追求により、保険給付レセプト情報と既存の介護記録情報のごく一部のみを対象とし、設定されたアウトカム指標も要介護度や身体的自立度、認知機能障害度等に限定されているため、介護現場からは、介護の目的や効果は、より包括的な視点で考えるべきとの意見も出ている。

本事業では、「詳細なアセスメントデータ」と「介護サービスの内容」を接合した新たなデータベースの構築にソフトベンダーとともに取り組み、「より包括的な視点から高齢者のQOLを捉えた科学的介護のエビデンス」を発信できる環境を整備し、詳細なアセスメントデータをもたない行政主導の大規模データベースでは検討が困難な「高齢者のQOL」までを捉えたアウトカム指標を提示する。加えて、本事業の「質の評価(QI)研究」で構築してきたインターライ方式のデータベースは、対象者の心身機能だけでなく本人の意欲、社会活動状況などを含む要介護高齢者のアセスメントデータを蓄積することで、「介護サービス内容の効果」に言及することが可能となる。また、参加法人のケアの質向上とインターライ方式のデータ収集を維持するために、事業参加法人間の情報共有体制を構築する。

事業計画の最終年度であった昨年度は、実際に排出されたデータを用いて統合データベースのモデル案の作成を行うほか、現在の参加法人が参集する研究会を開催(リモート併用)し、QIユーザーがデータベースをより活用し易くするための意見を収集する計画であったが、新型コロナウィルス感染症の影響等により進捗に遅れが生じた為、1年延長し、本年度での達成を目指す。

関連する成果

[論文]

  • 石橋智昭:「介護サービスの質の評価;国家プロジェクトLIFEへの期待と不安」応用老年学,15(1),4-11,2021.
  • Tsuchiya-Ito R, Naruse T, Ishibashi T, Ikegami N. :The revised index for social engagement (RISE) in long-term care facilities: reliability and validity in Japan. Psychogeriatrics. 2021 Nov 24.
  • Igarashi, A. , Yamamoto-Mitani, N. , Ota, A. , Ishibashi, T. and Ikeagami, N. Care Prevention Needs in Community-Dwelling Older Adults in Japan. Health, 2021;13, 123-133.

[学会]

  • 石橋智昭・廣岡佳代・二宮彩子:「要介護認定をアウトカム指標とした短期集中予防サービスの効果検証」第80回日本公衆衛生学会総会(2021.12 オンライン・会場併用)
  • 石橋智昭・二宮彩子:「予防給付から移行した総合事業利用者の特性」日本老年社会科学会第63回大会(2021.6 オンライン)
  • 二宮彩子・土屋瑠見子・石橋智昭:「定期的ケアアセスメントデータ分析による居宅要介護高齢者の抑うつ悪化の要因」日本老年社会科学会第62回大会(2020.6 Vol.42 No.2誌上発表)
  • 廣岡佳代・二宮彩子・石橋智昭:「家族との関係性とアドバンス・ケア・プランニングとの関連:アセスメントデータに基づく施設入所者の分析」第15回日本応用老年学会大会(2020/10/2-3, オンライン)
  • 土屋瑠見子・二宮彩子・石橋智昭:「科学的裏付けに基づく介護に向けたアウトカム指標の検討:介護老人福祉施設新規入所者の生活満足度に関連する『参加』指標」第15回日本応用老年学会大会(2020/10/2-3, オンライン)
  • 二宮彩子・土屋瑠見子・廣岡佳代・石橋智昭:「要介護高齢者の抑うつ及び認知機能障害と同居有無に着目した介護者のストレスとの関連」第79回日本公衆衛生学会総会(2020/10/20-22 オンライン)
  • 廣岡佳代・二宮彩子・石橋智昭:「居宅要介護高齢者に対する緩和ケアの提供状況」第79回日本公衆衛生学会総会(2020/10/20-22 オンライン)
  • 五十嵐歩・山本則子・大田章子・石橋智昭・池上直己:「介護予防版インターライを用いた地域のフレイル層の支援ニーズの検討」第61回日本老年医学会学術集会(2019/6/6-8,宮城県)
  • 二宮彩子・土屋瑠見子・石橋智昭:「在宅要介護高齢者の孤独感が抑うつ悪化に与える影響;−定期的アセスメントデータ活用−」第78回日本公衆衛生学会総会(2019/10/23-25, 高知県)
  • 土屋瑠見子・石橋智昭・二宮彩子:「居宅の冷暖房設備状況が要介護高齢者の主観的well-beingに与える影響;3種類の屋外温熱環境条件での横断研究」第14回日本応用老年学会大会 (2019/10/19-20、京都府)
  • 二宮彩子・石橋智昭・土屋瑠見子「居宅要介護高齢者が抱える痛みの状況及び抑うつとの関連」第14回日本応用老年学会大会 (2019/10/19-20、京都府)
  • Rumiko Tsuchiya-Ito, Tomoaki Ishibashi, Naoki Ikegami: 「Validating Revised Index of Social Engagement (RISE) in Japan」World interRAI Conference 2020 (2020/2/3-5 ベルギー)

担当者:石橋 智昭(いしばし ともあき)研究員のご紹介ページへresearchmapへ別ウィンドウで開く

(公財)ダイヤ高齢社会研究財団 研究部長/主席研究員

担当者:佐々木 晶世(ささき あきよ)研究員のご紹介ページへresearchmapへ別ウィンドウで開く

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